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2 ドキュメントモード
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Maple ソフトウェアを使用して、強力な対話型ドキュメントを作成することができます。2 次元または 3 次元で問題を視覚的に表現し、アニメーションを実行することができます。簡単なポイントアンドクリックによるインターフェイスや、修正が簡単な対話型ドキュメントを使用して、複雑な問題を簡単に解くことができます。また、Maple プログラミング言語を使用して、カスタムソリューションを作成することもできます。作業の手順を記述し、テキストで表示することができます。
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2.2 概要
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Mapleには、ドキュメントモードとワークシートモードの 2 つのモードがあります。
ドキュメントモードは、簡単に計算ができるように設計されています。わずかなキー操作およびマウスクリックで、数式を入力し、評価、操作、解決、プロットを実行することができます。この章では、ドキュメントモードの概要を説明します。
ドキュメントモードの例:
の における導関数の値を求めよ。
区間 で の積分を求めよ。
=
ワークシートモードは、コマンドおよび Maple 言語を使用したプログラミングを通じて、対話型の操作を行うよう設計されています。ワークシートモードは、この章で説明するドキュメントモードで利用可能な機能に対応しています。ワークシートモードの使い方については、第 3 章ワークシートモードを参照してください。
注意 : ドキュメントモードで Maple 入力のプロンプトを表示するには、ツールバーの
をクリックします。
重要 : どの Maple ドキュメントにおいても、ドキュメントモードとワークシートモードを使用することができます。
対話型操作によるドキュメントの機能には以下が含まれます :
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ボタン、スライダー、チェックボックスなどの、埋め込みグラフィカルインターフェイスコンポーネント
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ファイルを開いた際に、自動的に実行するよう指定されている領域
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これらの機能については、第 7 章数学ドキュメントの作成を参照してください。
注意 : この章と第 1 章は、ドキュメントモードを使用して作成されています。それ以外の章は、ワークシートモードを使用して作成されています。
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2.3 数式の入力
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第 1 章では、2-D Math での簡単な数式の入力 (式の入力を参照) について概要を説明しました。以下のような数式も簡単に入力することができます。
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区分的連続関数 :
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極限 :
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連分数 :
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その他の複雑な数式。
数式には、以下のオブジェクトを含めることができます。
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数値 : 整数、有理数、複素数、浮動小数、有限体要素、 、 、 ...
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定数 : ...
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名前 (変数) : ...
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データ構造 : 集合、リスト、配列、ベクトル、行列、...
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Mapleでは、千種類以上の記号を使用することができます。9、=、>、x など、一部の数値、演算子、名前は、対応するキーを押すことで入力することができます。ほとんどの記号は、キーボードからは入力できませんが、パレット入力か記号名入力の 2 つの方法のいずれかを使用して簡単に挿入することができます。
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例 1 - 偏導関数を入力する
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記号を挿入するには、パレットまたは記号名を使用します。
パレットを使用して、偏導関数 を入力します。
動作
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ドキュメントに表示される結果
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1. [式(Expression)] パレットで、偏微分項目
をクリックします。偏導関数が挿入されます。変数のプレースホルダーが選択されます。
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2. t と入力し、Tab キーを押します。数式のプレースホルダーが選択されます。
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3. と入力します。注意 : 指数 e を入力するには、式のパレットまたはコマンド補完を使用します。
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積分を評価し、結果をインラインで表示するには、Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押すか、Enter キーを押します。詳細については、パレットを使用した計算を参照してください。
記号名および記号補完リストを使用して、どのような式でも入力することができます。
動作
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ドキュメントに表示される結果
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1. まず記号名 diff を打ち込み、記号補完キーを押します (プラットフォームごとのショートカットキーを参照)。
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2. 偏微分項目
を選択します。
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3. プレースホルダーを t に置き換えます。右矢印キーを使用して分母の入力を終了します。前の例と同様に、 を入力します。
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例 2 - 数学関数を定義する
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入力を 2 倍の値にする 関数を定義します。
動作
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ドキュメントに表示される結果
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1. [式(Expression)]パレットで、1 変数関数の定義項目
をクリックします。
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2. プレースホルダー f を関数名 に置換します。Tab キーを押して、次のプレースホルダーに移動します。
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3. パラメータプレースホルダー a を独立変数 に置換します。 Tab キーを押します。
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4. 出力プレースホルダー y を目的の出力 に置換します。
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=
=
注意 : 右矢印記号 を挿入するには、数学モードで -> と入力することもできます。この場合、自動的に記号補完が行われます。
重要 : 数式 は関数 とは異なります。
関数の詳細については、関数演算子を参照してください。
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2.4 数式の評価
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数式を評価するには、数式にカーソルを移動し、Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押します。つまり、Ctrl (またはCommand) キーを押したまま、等号 (=) キーを押します。
数式の右側に、等号および数式の値が挿入されます。
=
挿入された等号記号を、テキストまたは数式に置換することができます。
等号を置換するには、以下の手順に従います :
1. 等号を選択します。Delete キーを押します。
2. 置換するテキストまたは数式を入力します。
たとえば、等号を "is equal to" というテキストに置換することができます。
is equal to
数式で Enter キーを押すと、数式が評価され、評価が次の行の中央に表示されます。カーソルが出力の下の新しい行に移動します。
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デフォルトでは、Enter キーを押すと生成される出力にラベルが表示されます。方程式ラベルについては、方程式ラベルを参照してください。このマニュアルでは、通常はラベルが表示されていません。
テキストモードで Enter キーを押すと、改行が挿入されます。
+ や − などの基本的な代数演算子は、多項式 (多項式代数を参照) や行列およびベクトル (行列演算を参照) を含むほとんどの数式で使用することができます。
=
=
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2.5 数式の編集および出力の更新
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Maple の重要な特徴の 1 つは、ドキュメントがライブ形式であることです。つまり、数式を編集すると、その結果が即座に再計算されます。
1 つの計算を更新するには、以下の手順に従います :
1. 数式を編集します。
2. Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押すか、Enter キーを押します。
結果が更新されます。
複数の計算を更新するには、以下の手順に従います :
1. 数式を編集します。
2. 編集したすべての数式および再計算する結果を選択します。
3. ツールバーの、[選択グループを実行] アイコン
をクリックします。
選択したすべての結果が更新されます。
Maple ドキュメント内の出力をすべて更新するには、以下の手順に従います :
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ツールバーの、[ワークシート全体を実行] アイコン
をクリックします。
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ドキュメント内のすべての結果が更新されます。
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2.6 計算の実行
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Maple 構文を習得しなくても、ドキュメントモードを使用して、高度な Maple 数学エンジンの機能を利用することができます。問題を解くだけでなく、数式を簡単にプロットすることもできます。
構文を使用しない計算で利用する主なツールを以下に示します :
注意 : ドキュメントモードは、簡単な計算を行うためのものですが、Maple コマンドもサポートしています。コマンドの詳細については、第 3 章コマンド in Chapter 3, ワークシートモードを参照してください。
重要 : ドキュメントモードでは、数式モードで文を入力した場合にのみ文を実行することができます。Maple コマンドを使用するには、数式モードでコマンドを入力する必要があります。
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パレットを使用した計算
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数式の入力で説明されているように、一部のパレットには数学演算用の項目が含まれています。
パレットの数学演算用の項目を使用して計算を実行するには、以下の手順に従います :
1. [式(Expression)] パレットなどの、演算子を含むパレットで、演算子の項目をクリックします。
2. 挿入した項目で、プレースホルダーの値を指定します。
3. 演算を実行し、結果を表示するには、Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押すか、Enter キーを押します。
たとえば、 インラインで評価するには、次の手順に従います:
1. [式(Expression)] パレットを使用して、偏導関数を入力します。例 1 - 偏導関数を入力するを参照してください。
2. Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押します。
=
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コンテキストメニュー
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コンテキストメニューは、オブジェクトに対して実行可能な操作を示すポップアップメニューです。図 2.1 を参照してください。
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図 2.1 : コンテキストメニュー
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数式のコンテキストメニューを表示するには、以下の手順に従います :
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数式を右クリック (Macintosh の場合は Control キーを押しながらクリック) します。
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マウスポインタの横に、コンテキストメニューが表示されます。
コンテキストメニューを使用して、数式を評価することができます。
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[インライン表示で評価(Evaluate and Display Inline)] (図2.1) は、Ctrl + = (Macintosh の場合は Command + =) を押した場合と同じ処理を実行します。つまり、等号記号 (=) および数式の値を挿入します。
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[[評価(Evaluate)] (図2.1) は、Enter キーを押した場合と同じ処理を実行します。つまり、数式を評価し、結果を次の行の中央に表示します。
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評価の詳細については、数式の評価を参照してください。
コンテキストメニューから、評価以外の処理を実行することもできます。数式の右側に、右矢印記号 (→) および結果が表示されます。
たとえば、[近似(Approximate)] は、分数を近似します :
コンテキストメニューを使用して、一連の演算を繰り返し実行することができます。たとえば、 の導関数を計算するには、数式に対して [微分(Differentiate)] 処理を行い、次に点で結果を評価するために、最初の出力に対して [点で評価(Evaluate at a Point)] 処理を行います。点には、10 を入力します :
以下では、コンテキストメニューから実行できる処理のいくつかの詳細を説明します。図は、関連するコンテキストメニューまたはパレットを示します。
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数式の値の近似
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分数を近似するには、以下の手順に従います :
1. 分数を入力します。
2. コンテキストメニューを表示します。図 2.2 を参照してください。
3. コンテキストメニューから、[近似(Approximate)] を選択し、桁数 (5、10、20、50、100) を選択します。
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図 2.2 : 分数の値の近似
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挿入された右矢印記号を、テキストまたは数式に置換することができます。
右矢印 () を置換するには、以下の手順に従います :
1. 矢印とその上に表示されているテキストを選択します。Delete キーを押します。
2. 置換するテキストまたは数式を入力します。
注意 : 右矢印をテキストと置換するには、先に F5 キーを押してテキストモードに切り替えておく必要があります。
たとえば、矢印を "is approximately equal to" というテキストまたは記号 ≈ に置換することができます。
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方程式の解決
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方程式の正確な (記号) 解または近似 (数値) 解を求めることができます。記号計算および数値計算の詳細については、記号計算および数値計算を参照してください。
方程式を解くには、以下の手順に従います :
1. 方程式を入力します。
2. コンテキストメニューを表示します。図 2.3 を参照してください。
3. コンテキストメニューから、[厳密解を計算(Solve)] メニュー項目の [厳密解を計算(Solve)] を選択するか、[数値解(Numerically)] を選択します。
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図 2.3 : 方程式の近似解を求める
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不等式や微分方程式、その他方程式の解き方の詳細については、方程式を解くを参照してください。
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単位の使用
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単位付きの数式を作成することができます。数式の単位を指定するには、[単位記号(Units)] パレットを使用します。[単位記号(Units) (FPS)] パレット (図 2.4) には、フィート - ポンド - 秒単位系 (FPS) の重要な単位が表示されます。[単位記号(Units) (SI)] パレット (図 2.5) には、国際単位系の重要な単位が表示されます。
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図 2.4 : FPS 単位記号パレット
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図 2.5 : SI 単位記号パレット
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単位付きの数式を挿入するには、以下の手順に従います :
1. 数式を入力します。
2. パレットで単位記号をクリックします。
注意 : 逆数に単位を付けるには、単位で除します。
単位を含む数式を評価するには、以下の手順に従います:
1. 単位記号にはパレットを使用して数式を入力します。
2. 数式を右クリック (Macintosh の場合は Control キーを押しながらクリック) します。
3. コンテキストメニューから、[単位(Units)] を選択し、[簡単化(Simplify)] を選択します。
たとえば、2.9 秒間に 590 クーロンの電荷を運ぶ電線の電流を計算するには、次のように入力します。
単位の使用の詳細については、単位を参照してください。
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アシスタントとチューター
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アシスタントおよびチューターは、ボタン、テキスト入力領域、スライダーを使用したポイントアンドクリックによるインターフェイスを提供します。アシスタントおよびチューターの詳細については、ポイントアンドクリックによる操作を参照してください。
アシスタントおよびチューターは、[ツール(Tools)] メニューから、または、数式のコンテキストメニューから起動することができます。たとえば、[線形方程式系を解く(Linear System Solving)]チューターを使用して、行列または一連の方程式で指定された線形方程式系を解くことができます。
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例 3 - コンテキストメニューを使用して、[線形方程式系を解く(Linear System Solving)] チューターを起動する。
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[線形方程式系を解く(Linear System Solving)]チューターを使用して、行列の形で表示された以下の線形方程式系を解きます :
動作
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ドキュメントに表示される結果
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1. 新規のドキュメントブロックで、解きたい行列または一連の線形方程式 を作成します。
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2. [線形代数 (学習)] - Student[LinearAlgebra] パッケージをロードします。[ツール(Tools)] メニューから、[パッケージをロード(Load Package)] → [Student Linear Algebra] の順に選択します。この操作を行うと、[線形代数 (学習)] - Student[LinearAlgebra] パッケージのチューターの利用が可能になります。詳細については、パッケージコマンドを参照してください。
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Loading Student:-LinearAlgebra
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3. 行列を右クリックし、[チューター(Tutors)] → [線形代数(Linear Algebra)] → [線形システムの解...(Linear System Solving...)] の順に選択します。問題の解法を選択できる [線形代数解法(Linear System Solving)] ダイアログが表示されます。[ガウス消去法(Gaussian Elimination)] では、行列を row-echelon 形式に簡約化してから、後退代入を行って方程式系を解きます。[ガウスジョルダン消去法(Gauss Jordan Elimination)] では、行列を既に方程式が解かれている reduced row-echelon 形式に簡約化します。この例では、[ガウス消去法(Gaussian Elimination)] を選択します。
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4. [ガウス消去法(Gaussian Elimination)] ダイアログが表示されます。ガウス消去を 1 項目ずつ指定することもできますし、[次のステップ(Next Step)] または [全てのステップ(All Steps)] ボタンを押して、自動的に作業を行うことも可能です。
5. 行列が row-echelon (上三角行列) 形式になったら、[システムを解く(Solve System)] ボタンをクリックして、次の作業に進みます。
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6. [行階段系で連立方程式を解く(Solve the system of equations in Row-Echelon Form)] ダイアログが表示されます。右側にある解の計算ボタンをクリックします。まず、[Equations] で方程式を求め、次に各変数を解きます。 [Solution] ボタンをクリックして、チューターに解を表示します。
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7. [閉じる(Close )]ボタンをクリックし、ドキュメントに解を返します。
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線形方程式系および行列の詳細については、線形代数を参照してください。
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